金利上昇が収益不動産の価格へ与える影響について
こんにちは。株式会社ビーメイン代表の木戸翔太です。
今回は、近年の金利上昇が収益不動産の価格や利回りにどのような影響を与えるのかについてお話したいと思います。
収益不動産の価格は、単純に需要と供給だけで決まるものではありません。投資家が不動産から得られる収益をもとに価格を判断する「収益還元法」という考え方が基本になります。
この仕組みを理解しておくことで、不動産価格がなぜ変動するのかをより客観的に捉えることができます。
収益還元法による不動産価格の考え方
収益不動産の価格は、一般的に次のような考え方で算出されます。
不動産価格 = NOI(営業純利益) ÷ キャップレート(期待利回り)
NOI(Net Operating Income)とは、不動産から得られる家賃収入などの総収益から、管理費、修繕費、保険料、固定資産税などの運営に必要な経費を差し引いた営業純利益のことをいいます。
そして、そのNOIを投資家が期待する利回り(キャップレート)で割り戻すことによって、不動産価格が決定されます。
つまり、収益が大きいほど価格は高くなり、期待利回りが高いほど価格は低くなるという関係になります。
キャップレートはどのように決まるのか
キャップレートは、一般的に次の式で考えられます。
キャップレート = リスクフリーレート + リスクプレミアム
リスクフリーレート
リスクフリーレートとは、リスクがほとんど存在しない資産から得られる利回りを指します。
日本では一般的に10年国債利回り(長期金利)が指標として用いられます。
全国どこの不動産であっても、このリスクフリーレート自体は共通です。
リスクプレミアム
一方、リスクプレミアムとは、不動産投資特有のリスクに対して投資家が追加で要求する利回りです。
例えば次のような要素が評価されます。
・立地・エリア
・築年数
・建物構造
・間取り
・修繕状況
・設備の状態
・入居者属性
・災害リスク
・将来の賃料変動
・景気変動
など、物件ごとの様々な要因によってリスクプレミアムは変動します。
金利上昇による影響
本日時点(2026年7月22日)の日本国債10年利回りは約2.75%となっています。
一方、約1年前の2025年7月時点では約1.6%でした。
つまり、この約1年間で長期金利はおよそ1.1%上昇しています。
仮にリスクプレミアムが1年前と変わらないとすると、キャップレートも理論上は約1.1%上昇することになります。
キャップレートが上昇すると、同じNOIであれば収益還元法上の不動産価格は下落する方向へ働きます。
しかし現在はインフレ局面でもある
現在は金利上昇だけではなく、インフレも同時に進行しています。
インフレ局面では賃料が上昇しやすくなり、それに伴ってNOIも増加する可能性があります。
つまり、
・分母であるキャップレートは上昇する
・分子であるNOIも増加する
という現象が同時に起こります。
そのため、キャップレートの上昇による価格下落圧力を、NOIの増加が一定程度吸収するケースもあります。
大阪市内では賃料上昇が目立つ
実際に大阪市内中心部では、ここ1.2年で賃料上昇が目立っています。
一部エリアでは人口増に対応する供給不足から空室率が低下し、募集賃料が大幅に上昇している物件も少なくありません。
このようなエリアでは、将来的なNOIの成長が期待できるため、キャップレートの上昇だけでは価格を判断できないケースもあります。
インフレに強い資産としての不動産
不動産は一般的にインフレに強い資産といわれています。
建築資材や人件費の上昇により新築価格が上昇すると、中古不動産にも価格上昇圧力が働きます。
さらに、不動産価格の上昇に伴い賃料も徐々に上昇していく傾向があります。
もちろん、すべてのエリアで同じように賃料が上昇するわけではありません。
人口動態や需給バランスによっては、賃料の上昇が限定的な地域もあります。
そのため、地域ごとのマーケット分析は非常に重要になります。
まとめ
収益不動産を検討する際には、単純に現在の利回りだけを見るのではなく、
・金利動向
・キャップレートの変化
・今後の賃料上昇余地
・地域ごとの需給バランス
などを総合的に分析することが重要です。
金利上昇局面では価格下落要因だけに注目されがちですが、インフレによる賃料上昇やNOIの成長も合わせて考えることで、より実態に近い投資判断ができるようになります。
収益不動産は「現在の利回り」だけではなく、「将来どのような収益を生み出す資産なのか」という視点で評価することが大切だと考えています。
株式会社ビーメイン
代表 木戸翔太