不動産売却で複数の業者に依頼しても意味がない?一般媒介の注意点と信頼できる業者の見極め方

こんにちは。大阪・心斎橋の不動産会社、株式会社ビーメインの木戸翔太です。
不動産を売却する際、 「複数の不動産会社に依頼した方が早く売れるのでは?」 「競争原理が働いて、高く売れる可能性があるのでは?」 とお考えの方も多いかもしれません。
今回は、一般媒介契約のメリット・デメリット、そして複数業者への依頼がもたらす意外な落とし穴について、実際の現場感覚も交えながらお伝えします。
一般媒介契約は「悪」ではない。コントロール次第
まず前提として、複数の不動産会社に売却を依頼する「一般媒介契約」自体は、決して間違いではありません。
特に、事業用不動産・収益不動産の市場では、レインズ(指定流通機構)に載っていない“水面下”の情報が主流です。売主と関係のある複数の業者が並行して動いていることも多く、一般媒介契約はごく自然なスタイルといえます。
また、一般媒介には明確なメリットもあります。
- 複数の業者に依頼することで、業者間に競争意識が生まれやすい
- 一社が決まらなくても、他の業者で売却が進む可能性がある(リスク分散)
ただし、このメリットを生かすためには、売主側にも戦略が求められます。
「依頼すれば、あとは業者が勝手に動いてくれるだろう」 というスタンスでは、せっかくの一般媒介の長所が、かえってマイナスに働いてしまうことがあります。
「とりあえずいろんな会社に任せる」は逆効果に
個人の方や一般法人が不動産を売却する場合、“とりあえず複数の業者へ依頼する”という進め方には注意が必要です。
- 売出価格や諸条件が業者ごとにバラバラ
- レインズへの登録方針や広告掲載が統一されていない
- 情報の出し方にズレが生じる
このような状態では、物件の印象が業者や買主にとって不安定なものになり、結果的に売却機会を逃すリスクが高まります。
つまり、一般媒介のメリットを活かすためには、売主自身が各業者を適切にコントロールし、売却条件の統一と管理を行う必要があるのです。
レインズに同じ物件が複数登録されると、どう見られるか?
不動産業者はレインズを活用して、物件の情報を確認しています。
そこで同じ物件が複数の業者から登録されていると、業者間ではこんな印象を持たれがちです。
- 「この物件、何社も扱ってるな…売主が焦ってるのかな」
- 「価格交渉しやすいのかな?」
- 「売主と業者との信頼関係が浅そうだな」
こうした印象は、売主にとってもマイナスに働きます。
複数社に依頼するなら「条件の統一」と「公正な競争」が必須
複数の不動産会社に売却を依頼する場合、最低限次の点はすべての業者で統一することが不可欠です。
- 売出価格
- 仲介手数料の条件や引渡し時期などの売買条件
- レインズへの登録方針
- 広告掲載の方針(ネット広告・紙媒体など)
- 情報公開の範囲
これらが曖昧なまま進んでしまうと、業者ごとに物件の扱いが変わってしまい、売主の信頼性が損なわれます。
良くあるのは、一部の業者のみが突然先にレインズへ登録してしまうケースです。
他の業者の立場からすれば、
- 「あれ?うちには“レインズに載せないでほしい”と言われてたのに…」
- 「そもそも掲載について何の打ち合わせもしていないのに、他社が勝手に動いている?」
といった疑念が生まれ、不信感へとつながります。
その結果、 「もうこの案件は引こう」 という判断に至る業者も出てきます。
つまり、誰も“本気で決めにいかない”状況を生んでしまうのです。
私の体験談:一社ずつ、信頼ベースで依頼したときの話
私自身、以前に所有している実需物件を売却しようと考えた際、まずはエリア内で多くの顧客をストックしていると思われる、地元の大手不動産会社に相談しました。その時にお伝えしたのは、以下のような内容です。
「まずは御社の直接のお客様にだけご紹介ください。レインズへの登録や広告は控えていただきたいと思っています。もし一定期間内に御社で決まらなかった場合は、他の業者にも依頼することも考えています。」
このようにお伝えすることで、先々の販売戦略も見据えた上で、最初に依頼した業者にも責任感を持ってしっかり動いていただき進めることができました。
専任で任せるなら、「誰に任せるか」がすべてではないが、極めて重要
専任媒介契約で一社に絞って依頼する場合、業者側にも「中途半端な気持ちでは受けられない」という責任感が生まれます。
ただし、一般媒介契約において信頼関係が希薄なまま依頼された場合、業者側も「とにかく情報を拡散して、偶々決まればラッキー」といった感覚になりやすく、結果的に優先順位が下がってしまうことがあります。その結果、戦略もなく、とにかくスピード重視で情報を出すだけの動きとなり、物件が市場に拡散されすぎて“出回り物件”として認知されてしまう――そうした事態に陥ることも少なくありません。
もちろん、会社の規模やブランド力も一定の安心材料にはなりますが、それ以上に結果を左右するのは、やはり担当者個人の姿勢や力量です。
だからこそ大切なのは、「この担当者なら信頼できる」と納得できる相手に、売却戦略や価格設定をきちんと擦り合わせた上で依頼することです。
まとめ:不動産売却で大切なのは「どこに出すか」ではなく「誰に任せるか」
情報を広く出すことはもちろん大切ですが、それ以上に重要なのは、売却活動に携わる担当者の姿勢と責任感です。
- 複数の業者に依頼する場合は、条件を統一し、信頼できる会社に絞る
- 専任で任せる場合は、担当者ときちんと意思疎通を図り、協力体制を築く
- 情報管理や売却戦略にズレが生じると、かえってマイナスの印象を与えてしまう
株式会社ビーメインでは、不動産売却における“信頼”と“責任”を何よりも大切に、ひとつひとつのご相談に真摯に向き合っています。
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