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2025.5.30
コラム

金利が低い=お得は本当か? 実行金利で見えてくる融資コストの本質

こんにちは。株式会社ビーメイン代表の木戸翔太です。

不動産投資や事業資金の借入を検討する際、まず目に入るのは金融機関が提示する「金利」です。
「なるべく低い金利で借りたい」と思うのは自然ですが、その数字だけを見て融資を選ぶのは、実は危うい選択でもあります。

金利には「表面金利」と「実行金利」という2つの視点があります。
この違いを理解しないまま融資を比較してしまうと、判断を誤り、後からコスト負担が大きくなるケースもあります。

今回は、実際のシミュレーションをもとに、表面金利と実行金利の違い、そして融資判断における視点の持ち方について整理します。


表面金利と実行金利の違いとは?

表面金利とは、金融機関が提示する名目上の金利です。契約書や広告に記載される数字で、一般的に比較材料として使われます。

一方、実行金利(または実質金利)は、融資実行時の手数料、返済時に発生する諸費用などを加味し、実際の支払総額を年利に換算したものです。
本当に重要なのは、「実際にいくら払うことになるのか」という視点であり、それを可視化するのが実行金利です。


シミュレーション:同じ借入でも実質コストは違う

以下の条件で、実行金利にどれだけ差が出るかを試算しました。

  • 借入金額:1億円
  • 返済期間:30年(元利均等返済)
  • 想定:5年間返済後に一括返済
  • 金融機関A:表面金利2.2%、手数料なし
  • 金融機関B:表面金利2.0%、返済時に残債の2%を手数料として支払い

詳細シミュレーション

項目金融機関A
(2.2%、手数料なし)
金融機関B
(2.0%、返済時2%手数料)
借入金額1億円1億円
借入期間30年30年
毎月返済額約379,701円約369,619円
5年後の残債約8,755万円約8,720万円
5年間の利息合計約1,034万円約938万円
一括返済手数料なし約174万円
総支払額(5年間)約1,034万円約1,112万円

金利比較

項目金融機関A比較金融機関B
表面金利2.2%2.0%
実行金利(概算)2.2%2.35%

表面金利だけでは判断できない理由

一見すると、金利が低い金融機関Bのほうが得に思えます。
しかし実際には、返済時にかかる手数料を加味すると、総支払額が上回ってしまうことがわかります。

このように、数字だけで判断してしまうと、実質的にはコストが高くついてしまうケースは少なくありません。
特に売却や繰上返済などを前提にしている場合、実行金利という考え方が必要不可欠になります。


融資判断のための視点

金利比較で失敗しないために、次のような視点を持っておくと判断の軸がぶれません。

  • 表面金利だけでなく、手数料や条件を含めた総コストで比較する
  • 自身の返済・売却スケジュールを踏まえて条件を検討する
  • 数字の裏側にある仕組みや構造を理解する

融資は単なる資金調達ではなく、投資全体の収支を左右する大切な要素です。
金利の数字ではなく、返済設計のバランスを見ることが、賢い選択につながります。


まとめ

表面金利が魅力的に見えても、実際の支払い負担を反映した実行金利で見ると、条件が逆転することがあります。
本当に重要なのは、いくらで借りられるかではなく、いくら返すことになるのかです。

株式会社ビーメインでは、事業用不動産・収益不動産の売買および関連コンサルティングを専門としています。
投資判断における数字の見方や物件選定、資金設計に至るまで、実務に基づいた視点でサポートいたします。

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