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2025.5.08
コラム

レバレッジとは?正しい意味・使い方・判断基準をわかりやすく解説

不動産投資では「レバレッジをかける」「レバレッジを効かせる」といった言葉をよく耳にします。
しかし、この言葉の意味を正しく理解せず、「借金を多くすれば儲かる」といった誤った解釈で使っているケースも少なくありません。

本記事では、不動産投資におけるレバレッジの正しい定義と判断基準、そしてよくある誤解と実務的な使い方を、初心者にも分かりやすく解説します。


レバレッジとは?|不動産投資における本来の意味

レバレッジとは、借入(融資)を活用して、自己資金に対する収益性を高めることを意味します。
つまり、借入によって自己資本が「てこの原理」のように効率よく働き、リターンが向上する状態を指します。


よくある誤解:「レバレッジ=少ない自己資金で大きな物件を買うこと」?

多くの場面で、「レバレッジをかける=自己資金を抑えて、できるだけ借り入れること」と誤解されています。

確かにレバレッジの効果を得るには借入が前提になりますが、本当に重要なのは、「借入によって自己資本の利回りが高まったかどうか」です。

借入額が大きいからといって、必ずしもレバレッジが“効いている”とは限りません。


レバレッジの効果を見極める2つの指標

「FCR」と「ローン定数」

レバレッジの成否を判断するには、以下の2つの指標を比較します。

FCR(Free and Clear Return)とは

FCRとは、借入を使わず、自己資金だけで物件を購入した場合の利回りを示します。

計算式:
FCR(%)= NOI(年間純収益) ÷ 物件価格 × 100

この指標は、物件の「純粋な収益力」を表します。


ローン定数(Loan Constant)とは

ローン定数とは、借入に対して年間どれだけ返済するかを示す割合です。

計算式:
ローン定数(%)= 年間返済額(元利合計) ÷ 借入金額 × 100


レバレッジの判断基準:FCRとローン定数の比較

  • FCR > ローン定数
     → 自己資本利回りは上昇。プラスのレバレッジ。
  • FCR < ローン定数
     → 自己資本利回りは低下。マイナスのレバレッジ。

レバレッジが効いているかどうかは、借入の大きさではなく、FCRとローン定数の関係で判断します。


実例①:プラスのレバレッジ

  • 物件価格:1億円
  • NOI(年間純収益):700万円 → FCR:7.0%
  • 借入額:8,000万円(自己資金2,000万円)
  • ローン定数:5.06%(年間返済額:約405万円)
  • キャッシュフロー:700万円 − 405万円 = 295万円
  • 自己資本利回り:295万円 ÷ 2,000万円 × 100 = 14.75%

このケースでは、借入を使ったことで自己資金のリターンがFCRを大きく上回っています。
これはプラスのレバレッジが働いている典型例です。


実例②:マイナスのレバレッジ

  • 物件価格:1億円
  • NOI:480万円 → FCR:4.8%
  • 借入額:8,000万円(自己資金2,000万円)
  • ローン定数:5.06%(年間返済額:約405万円)
  • キャッシュフロー:480万円 − 405万円 = 75万円
  • 自己資本利回り:75万円 ÷ 2,000万円 × 100 = 3.75%

このケースではキャッシュフロー自体はプラスですが、自己資本利回りがFCRを下回っています。
つまり、借入を使ったことで投資効率が下がってしまっており、マイナスのレバレッジとなっています。


レバレッジを使うときの注意点

レバレッジは強力な武器になりますが、同時にリスクも高まります。

  • FCRとローン定数を必ず比較する
  • 借入比率ではなく、自己資金のリターンで判断する
  • 借入条件(金利・期間)と物件収益のバランスを重視する

これらを意識することで、借入に頼りすぎた危うい投資を避けることができます。


まとめ|レバレッジの正しい理解が投資の精度を高める

用語意味判断材料
FCR全額キャッシュ購入時の利回り物件の純収益力
ローン定数借入元本に対する年間返済額の割合借金のコスト
レバレッジ借入により自己資本利回りを高める仕組みFCRとローン定数の比較により判断できる

「レバレッジをかける」という言葉を使う前に、その借入が本当に自己資金を効率よく増やせているかを確認することが、不動産投資においては非常に重要です。

見た目のキャッシュフローではなく、数値に基づいた判断を。
それが、長期的に安定した不動産投資につながります。

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