大阪 特区民泊急増中

大阪・心斎橋で収益不動産・事業用不動産の売買仲介を専門に行っている、株式会社ビーメイン代表の木戸翔太です。今回は、大阪で急増している「特区民泊」について、お話したいと思います。
特区民泊とは
大阪では2016年に国家戦略特区制度に基づく特区民泊が導入されました。
通常の民泊は年間180日未満という営業日数制限があるほか、面積に応じた宿泊人数の上限が定められています。
これに対し、特区民泊には年間営業日数の制限がなく、25平米以上であれば宿泊人数の制限もありません。
大阪の特区民泊の現状
2025年5月末時点で、大阪府内では約6,300件の特区民泊が稼働しており、全国シェアは約95%を占めます。
背景には、インバウンド需要の回復と観光客数の増加があります。
特に大阪市中心部やその周辺では新規開設が急増し、報道でも近隣住民との摩擦やトラブルが取り上げられることが増えました。
トラブル発生の要因
外国からの旅行者は文化や生活習慣が異なるため、一定のトラブルは避けられない面もありますが、罰則や運営ルールをより厳格化しなければ「やりっぱなし」の状態になりかねません。
一方、上場企業や大手事業者が運営する物件は、しっかりとしたオペレーターや管理体制を敷き、トラブルが少ない傾向があります。
しかし、不動産経営や運営ノウハウが乏しいオーナーが運営会社に丸投げし、さらに運営会社もノウハウが無かったり、急増する案件に対応しきれず、結果として管理不十分なケースが発生しているのも現状です。
中国人オーナーと経営管理ビザ
民泊特区申請者の約4割が中国人オーナーとされており、単純な投資の側面だけではなく、日本への移住や経営管理ビザの取得が目的と言われております。
このビザの許可要件のうちの一つとして、資本金500万円以上または2名以上の常勤職員雇用のいずれかを満たす必要がありますが、近く資本金3,000万円以上かつ常勤職員1名以上必須に厳格化される見込みと報道されています。
さらに、社会保険加入の有無など申請内容の実質的な審査も強化されそうです。
経営管理ビザを更新し続け、5年以上日本に滞在することで帰化要件を満たす方もおり、この流れは中国人だけでなく他国のオーナーにも見られます。
また、コロナ以降、新世代の中国人富裕層、いわゆる「潤」といわれる方々の海外へ移住する動きが加速しており、そのうちの一つの移住先として、時差が少なく、文化が近いなどのポジティブな理由で日本が選ばれているということも、経営管理ビザの取得に拍車がかかっている理由の一つかもしれません。
制度改正の可能性と橋下徹氏の発言
元大阪市長の橋下徹氏はテレビ番組で、導入当初の2016年は大阪の経済や不動産取引が停滞していたこと、そこからインバウンド需要で経済が好転したことに触れつつ、トラブルは導入時から想定されていた課題であり、外国人による特区民泊への投資は歓迎されるものであるという認識の上で、特区民泊の規制に関する議論も今後必要であり、用途地域によるエリア制限など具体的な対策が必要だと述べていました。
影響力のある人物の発言だけに、今後の制度変更の方向性として注目されます。
投資市場の動き
現状、通常の賃貸よりも、高い利回りを見込めることから、民泊特区を活用できる収益不動産のニーズは非常に高く、活発に取引されています。
ただし、申請件数の増加で行政側の審査は時間がかかり、認可までの期間が長期化しているのが実情です。
もし用途地域などで、エリア制限が導入されれば、既に認可を得ている物件には既得権的な価値がつく可能性があります。
一方、25〜30平米の面積が狭めの物件はエリアによっては供給過多の傾向があり、今の民泊を目的とした新規開発案件は、この40〜45平米程度の広めタイプをターゲットとしていることが多いと感じます。
まとめ
特区民泊は、きちんと運営すれば収益性が高く、魅力のある事業だと思います。
今後は、日本人オーナーも活用しやすい環境や、金融機関の融資・制度面のサポートが少しずつ整っていけば、選択肢の幅も広がっていくのではないかと考えています。
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株式会社ビーメイン代表 木戸翔太