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2025.6.02
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現場だけでは見えなかった。不動産資格CPM®・CCIMが教えてくれた視点

こんにちわ。株式会社ビーメイン代表の木戸翔太です。

私は現在、収益不動産中心とした事業用不動産の売買仲介を中心に活動しており、これまでに多くの不動産の取引に携わってきました。今回は、私が取得した2つの国際資格「CPM®(米国不動産経営管理士)」と「CCIM(米国認定商業不動産投資顧問)」について、その取得に至る背景や、実務でどのように活かしているかをお話ししたいと思います。


「キャップレートとNOIの違いを、正確に説明できますか?」

2019年、北摂エリアの10億円規模の収益マンションの売却相談の面談中に、お客様から突然こう質問されました。

「キャップレートとNOIの違いを、正確に説明してもらえますか?」

普段から使っていて、理解しているはずの用語にもかかわらず、いざ言葉にしようとすると明確に説明できなかった。その瞬間、感覚で仕事をしていた自分に気づきました。

この経験が、「きちんと学ばないといけない」と思うきっかけになりました。


実務経験と、学び直す必要性

私は、信託受益権の大型案件から、個人投資家の方が所有する数千万円規模の物件まで、幅広い収益不動産を取り扱ってきました。実務経験は積んできたものの、その場その場で知識を補ってきた結果、理解が断片的になっていたことを痛感しました。


CPM®で学んだ「管理」の専門性と倫理

調べていく中で出会ったのが、IREM(米国不動産管理協会)が認定する「CPM®」という資格です。
アメリカではプロパティマネジメントの専門家として高く評価されており、日本でも約700名、世界では8,000名以上が資格を保有しています。
▶︎ 詳しくは日本公式サイトをご覧ください:
CPM®(米国不動産経営管理士)公式サイト|IREM JAPAN

CPMでは、以下のような内容を体系的に学びました:

  • 不動産管理の倫理
  • キャッシュフローと予算管理
  • リスクマネジメントと修繕計画
  • 管理チームの運営
  • リーシングとマーケティング
  • 資産評価と投資分析

「倫理」の授業では、不動産投資や実務に直結する内容だけでなく、不動産業者としてどこで利益を得るべきか、何が顧客の信頼を損なうかといった根本的な姿勢についても学びました。受講生同士でこうしたテーマについて意見を交わすことで、自分自身の考え方や立ち位置、価値観を見つめ直す大きなきっかけとなりました。


多様な実務家との交流から得た視野

全国から集まった受講者の中には、不動産プレイヤー以外にも、不動産会社を経営されている方や、大手企業の管理部門で働く方、建築会社の方、税理士をはじめとした士業の方、専業で不動産賃貸業をされている方など、実にさまざまな背景を持った実務家がいらっしゃいました。

異なる視点や経験を共有することで、自分では気づけなかった物件の見方や、業務に対する姿勢に新たな気づきを得ることができ、大きな刺激となりました。


CCIMで「投資判断」に必要な分析力を身につける

CPM取得後、さらに一歩踏み込んで学びたいと感じ、2021年に「CCIM」の取得を目指しました。
CCIMは、商業用不動産の投資分析に特化した国際資格であり、より実践的で高度な内容を扱います。
▶︎ 詳しくは日本公式サイトをご覧ください:
CCIM(米国認定商業不動産投資顧問)公式サイト|CCIM JAPAN

CPMでは、CCR(キャッシュ・オン・キャッシュ・リターン)やDSCR(債務返済比率)など、投資における基本的な指標や分析手法を学びました。これらは投資判断の土台となる重要な知識です。

一方、CCIMではそれをさらに深掘りし、減価償却や税金の影響を考慮した「税引き後キャッシュフロー」の考え方など、より精緻な投資判断の技術を学びました。

自社ビルを保有し続けるか売却すべきかなど、感覚だけではなく数字に基づいた考え方を学べたことが、大きな成果のひとつです。

現在は、CCIM JAPANの西日本エリア担当役員として、微力ながら運営にも携わっております。


賃貸管理は「資産価値の向上」に直結する仕事

日本では、賃貸管理というとクレーム対応や点検、空室対策、賃貸付けといった事務的な業務として見られがちですが、実際は資産価値に大きく関わる重要な仕事です。

たとえば、年間賃料が10万円上がれば、キャップレート5%で計算すると評価額は200万円上がることになります。これは「収益還元法」という考え方に基づくものです。

また、壊れてから修繕するのではなく、あらかじめ修繕計画を立てて実行することで、長期的にはコスト削減にもつながります。こうした視点を持つことで、より戦略的に物件の価値を維持・向上させることができます。


学びと刺激

CPMやCCIMは、世界中に支部があり、世界中の専門家との交流があります。中には、日本にいながら海外の不動産を扱う方や、海外で活躍されている日本人もいます。

私自身、英語は得意とは言えませんが、それでも国際的なネットワークに触れることで得られる刺激や学びは、非常に大きいと感じています。


不動産業に求められる多様な力

不動産業は、一言で言い表せないほど多くのスキルと姿勢が求められる仕事です。

お客様と信頼関係を築くための営業力。ちょっとした変化や言葉の端に気づく「気づく力」。物件の特性や市場動向を踏まえたリスク管理。エリアや時期ごとの相場感覚。そして、現場で培われる経験。それらをお客様にわかりやすく伝える「説明力」。

どれも欠かすことができません。

私自身も、実務を重ねてきましたが、その中で痛感したのは、「理論だけでも、経験だけでも足りない」ということです。

その場その場で対応するだけではなく、理論的な裏付けを持ち、根拠ある提案を行うこと。そしてそれを、専門用語に頼らず、誰にでもわかりやすく伝えること。それが大切な姿勢であり、常に意識していることのひとつです。「理論だけでも、経験だけでも不十分である」ということです。どちらか一方では対応できない場面が多く、両方をきちんと持ち合わせたうえで、専門家としてお客様に納得いただけるような説明ができる知識と姿勢が必要だと感じています。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

私自身、まだまだ学ぶことばかりですが、一つひとつのご縁を大切にしながら、お客様にとって信頼できる存在でありたいと思っています。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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