【収益物件購入時の重大チェックポイント】

こんにちは、大阪・心斎橋で収益不動産・事業用不動産を取り扱っている株式会社ビーメイン代表の木戸翔太です。
いつも当社ホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
今回は、不動産の資産価値を守るうえでとても大切な「点検」について、お話しします。
法定点検の実施状況は「見えないコスト」とリスクを左右する
収益不動産を購入する際、利回りや立地条件などに目が行きがちですが、それだけでは投資判断として不十分な場合があります。
見落としがちなポイントのひとつが、建物の法定点検や維持管理の実施状況です。
実際には、こうした点検を何年も実施していない物件が、多く市場に流通しています。
例えば、
- 避難ハッチが使用不能で、交換に多額の費用が発生
- 自動火災報知設備が故障したまま放置され、修繕コストが想定を超えた
といった事例は、決して珍しくありません。
■ 建物の規模や設備に応じて、法定点検・報告の義務があります
建物の用途や構造、規模、そして設備の種類に応じて、建築基準法・消防法・水道法などの関連法令により、定期的な点検・報告が義務付けられています。
これらを怠ることで、行政処分や事故発生時の法的責任がオーナーに及ぶリスクが生じます。
例えば、火災が発生し、設備の不備や未点検が原因で被害が拡大した場合には、重過失として損害賠償や刑事責任を問われる可能性もあります。
一方で、法定点検をきちんと実施しておくということは、短期的には費用がかかる対応かもしれませんが、それ以上に、万一の事態で資産価値の毀損を未然に防ぐリスクヘッジにもなります。
投資不動産は、「いかに安定して保有・運営できるか」にあるとすれば、こうした点検は安心して所有を継続するための保険と捉えるべきでしょう。
【法定点検・報告項目の例】
- 消防設備等点検(年2回:機器点検・総合点検)
- 建築設備定期検査・特定建築物定期調査
- 昇降機(エレベーター)の定期検査報告
- 高圧受電設備(キュービクル)の年次点検
- 貯水槽の清掃・水質検査(水道法または自治体条例により義務化)
■ リスクを把握したうえで、投資判断をする
大切なのは、こうした潜在的なリスクを検討段階でしっかり洗い出し、それらを解消・是正するためにどれだけの費用や手間がかかるかを見積もっておくことです。
法定点検が未実施だった物件では、初期に設備更新や是正工事が必要になる場合もあります。
一方で、それらが適切に管理されている物件であれば、安心感と管理コストの予測可能性が高まります。
こうした「見えないコスト」まで織り込んだ上で、物件価格や利回りを判断する視点が必要です。
■ スピードと慎重さ、その両立が「買える人」と「逃す人」の差になる
不動産マーケットの現場では、良質な収益物件ほど判断の速さが勝負を分けます。
とくに人気エリアや割安感のある物件では、即日、あるいは数日の間に買付が入り、すぐに売買が成立することも珍しくありません。
そのため、事前に確認すべき要点を整理しておくことが重要です。
- どんな法定点検があるか
- どのような状態であれば「安心」と言えるか
- 是正にかかるおおよそのコストはどの程度か
こうした情報をあらかじめ把握しておくことで、現地を見た瞬間に判断する土台ができている状態になります。
「良い物件」の定義は投資家によって異なります。
例えば、法定点検が完璧で、満室で、直近で修繕も完了している――という物件は、たしかに安心感があるでしょう。
ただし、こうした物件はすでに価格に安心感が織り込まれており、高利回りを狙う投資家からすれば、割安感がないと見なされることもあります。
一方で、点検が未実施、空室があり、修繕にも課題がある物件は、一般的には懸念材料とされますが、その分価格が抑えられ、工夫次第で価値を引き上げる余地がある物件でもあります。
つまり、こうしたグレーな物件こそが投資家の運営能力によってバリューアップできる物件とも言えるのです。
そのためには、点検や維持管理に関する知識を持つこと、あるいは信頼できるパートナーと相談できる関係性を築いておくことが大切です。
最終的には、「このリスクは許容できる」と判断できる力、
そしてそれを数値化して即座に判断できる体制こそが、良い物件との出会いに直結します。