CCR(キャッシュ・オン・キャッシュ・リターン)とは?

こんにちは。株式会社ビーメイン代表の木戸翔太です。
今回は、収益物件の投資効率を図るうえで基本となる指標、「CCR(キャッシュ・オン・キャッシュ・リターン)」について解説いたします。
CCRは、自己資金/自己資本に対してどれだけのリターン(利回り)が得られるかを把握するための、非常に実務的かつ重要な指標です。
収益不動産の購入や運用を検討されている方、キャッシュフローの改善に取り組まれている方には、ぜひ押さえておいていただきたい内容です。
CCRの計算方法
CCRの計算式はとてもシンプルです。
CCR(%)= 年間キャッシュフロー ÷ 自己資本 × 100
ここでいう「年間キャッシュフロー」は、税引前キャッシュフロー(BTCF)を意味します。
BTCFは、NOI(純収益)からローン返済(元金+利息)を引いたものです。
CCRの具体例(FCRとの関係も意識)
たとえば以下のような物件を想定します。
- 物件価格:1億円
- NOI(純収益):700万円(=FCR 7.0%)
- 年間ローン返済:400万円
- 自己資本(頭金+諸費用):2,500万円
このときのBTCFは「700万円 − 400万円 = 300万円」
したがって、CCRは次の通りです。
300万円 ÷ 2,500万円 × 100 = 12%
このように、CCRがFCR(7.0%)より高い状態であれば、レバレッジが有効に機能していることになります。
逆に、CCRがFCRを下回っていれば、融資を使うことで、投資効率が下がってる状態となります。
CCRは時間とともにどう変化するか?
物件を保有していると、その時の不動産の時価にもよりますが、基本的には、ローンの返済が進み、残債が減ることで自己資本(エクイティ)の比率が高まっていきます。
キャッシュフロー(BTCF)は大きく変わらないことが多いため、
自己資本が増える一方で、CCRは徐々に下がっていく傾向があります。
CCRが下がるのは悪いこと?
この変化は、一概に悪いとは言えません。ローンが順調に減り、自己資本が増えるのは堅実な資産形成の意味ではポジティブなことです。
ただし、「自己資本の働きぶり」という視点では要注意です。
同じキャッシュフローを生む資産に対し、自己資本が増え続けるということは、
お金が以前ほど効率よく働けていない状態とも言えます。
つまり、時間の経過とともに、投資効率が下がっている=資本の回転が鈍っているということです。
CCRの低下が示す「出口戦略」のサイン
例えば、当初CCRが12%だった物件が、10年後には5~6%まで下がっているケースはよくあります。
このようなときは、売却によって自己資本を現金化し、より高いCCRが期待できる物件に再投資する判断が有効です。
CCRは「買い時」だけでなく、「見直しのタイミング」を教えてくれる、非常に重要な指標でもあります。
まとめ:すべての不動産オーナーが見るべき数字
収益不動産を保有している限り、CCRは全てのオーナーが見るべき投資効率の指標です。
「表面利回りが良い」「キャッシュフローも出ている」と安心していても、
裏では自己資本がどんどん眠ってしまっているかもしれません。