最近の収益不動産マーケットに感じる「変化」

こんにちは。収益不動産・事業用不動産、売買仲介専門、株式会社ビーメインの木戸翔太です。
今回は、収益不動産の仲介業務を通じて、ここ最近のマーケットの動きについて感じていることを、決して断定的な見方ではなく、あくまで一個人の所感としてお話しさせていただきます。
※本記事は、将来の相場を保証・予測するものではありません。
一棟収益物件やオーナーチェンジ物件の流通動向と投資環境
最近、一棟収益物件やオーナーチェンジ物件の流通が鈍化しているように感じています。(特に1棟マンションの住居系)背景として、米中関係や世界経済の先行き不安(トランプ氏の再登場に伴う関税懸念や中国経済の減速など)といった外部環境の影響もあるのかもしれません。
また、長期的に見ても物件価格は上昇基調が続いており、利回りは圧縮されてきました。そのためか、最近はキャピタルゲイン狙いの投資スタイルが増えている印象も受けます。 もちろん、これが良い悪いという話ではなく、相場環境の中での自然な変化のひとつだと感じています。
不動産市場の表面活況と実態|投資家のスタンスの変化
メディアなどでは、依然として市場が活況のように映る場面もありますが、現場で物件に触れていると、すべてがそうというわけでもないように思います。 とくに個人投資家の方々は、以前よりも一層シビアに利回りや融資条件を見ておられるようで、「条件が整わなければ無理に手を出さない」というスタンスの方が増えている印象です。
金融機関の融資スタンスと収益不動産投資における金利の影響
一部のパッケージ型ローン商品は引き続き積極的に融資が出ている一方で、プロパーローンなどでは融資判断が慎重になっている印象を受けます。 これは物件価格の上昇に加え、金利の上昇が重なった結果、担保評価が売買価格に追い付かず、自己資金の割合が増えたり、返済比率に厳しさが出てきたりしているためかもしれません。
エリア別の流通動向|賃料上昇・人口減少エリア・賃貸経営リスク
流通量や価格の動きは、エリアごとの差が以前よりも大きくなってきている印象があります。 賃料の上昇で相場圧縮を吸収できる都市部では流通が比較的堅調な反面、人口減少の影響が強いエリアでは売却に苦戦しているケースも見られます。
また、日本の法制度上、オーナー側から一方的に賃料を上げることは難しく、インフレによるコスト上昇が賃料にすぐには反映されにくい構造も、収支の見通しに影響を与えているように思います。
さらに、開発可能な事業用地や更地、加工できる物件などは、現在も比較的強いニーズを維持しています。これは、エリアに応じた有効活用がイメージしやすい点や、実需ベースでの需要が根強いことによるのではないかと感じています。
売却物件の増加と価格調整の兆し
最近、レインズなどをチェックしていると、オーナーチェンジ物件の売却情報が増えている印象を受けます。 また、売主側の価格設定にもやや変化が見られ、これまでの強気な価格から少しトーンダウンしてきているように感じる場面も出てきました。
もちろん、これは一部の傾向でしかないかもしれませんが、「少し安い」程度では買い手が反応しづらい局面になってきているように感じます。 本当に動きがあるのは、「これは明確に割安」と感じられるような水準まで価格が下がったときが多い印象です。
相場環境に応じた投資スタンスの必要性|売却・購入の判断軸
私自身、約20年にわたり収益不動産の仲介に携わってきましたが、相場の動きに合わせて適切に立ち回っている投資家には、一定の共通点があるように思います。
「相場の中で比較的、安く買えた・高く売れた」といったことに一喜一憂するのではなく、 今の景気や投資フェーズに応じて、買う・売る・保有するというスタンスを明確に決めている方々が、結果的にはうまくいっている印象です。
なぜなら、景気の波によって1割から2割程度の価格変動は容易に起こり得るため、そこで利益を確定するか、機会を逃すかは、スタンス次第で大きく変わってくるからです。
今後の収益不動産投資と判断に向けて
私は経済の専門家ではなく、未来の相場や景気がどうなるかを予測する能力もありませんし、立場にもありません。まだ上昇を続けるかも知れませんし、一気に下がるかも知れません。
だからこそ、物件の購入・保有においては、金利上昇リスクや長期的な収支安定性、修繕や管理の計画性なども踏まえ、 「想定したキャッシュフローを確保し続けられるか」という視点が欠かせないと思います。
売却についても、「少しでも高く売りたい」というお気持ちは当然ですが、機会損失につながらないよう、 過度な利益を追求せずに、「適切な利益」を確保して、次のステップに進むという判断もひとつの選択肢ではないでしょうか。
不動産売却・購入のご相談はお気軽に
今回の記事は、あくまで私個人が現場で感じた範囲の内容ですので、すべてのケースに当てはまるものではありません。
株式会社ビーメインでは、個々の状況に応じたご相談や対応を大切にしています。 不動産に関することがあれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。